旧「日刊オニマガ」

自由にDIYでゆる〜く生きる方法を考える日記

オープンド・アーティスト・システム(OAS)の話が出てたので、バンドが収益を上げるための方法を検証してみます。

【お知らせ】オニマガは新URLに引っ越しました。→ オニマガ http://onimaga.jp
「音楽業界に構造改革を」「音源は無料」の新ビジネス「オープンド・アーティスト・システム」(OAS)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1101/06/news080.html

メリディアンローグというバンドの人がなかなか面白そうな提案をしているので、
ちょっとこれを検証してみようかなと思います。

内容を簡単にまとめると、

・音源付きの無料メルマガを1〜3ヶ月に1回アーティストが発行する
・音源はちゃんとミックス&マスタリングされたもの
・メルマガ会員を2000人くらい集めるようにがんばる
・プレミアム会員は月額500円〜900円でいろんな特典がある
・プレミアム会員は会員証、CD、ライブDVD、ワンマンライブチケットなどが年1回無料でもらえる

→中間マージンを省いてアーティストは収入アップ!音楽で食っていける!
→年額6000円〜10800円程度でファンはハッピー!
→口コミが広がってどんどん拡大!みんなハッピー!

◎音源は無料、CDはグッズ、基本は会員制ビジネスで収入を確保する


ざっくりこんな感じです。
結論からすると、ビジネスモデルとしては正しいというか、面白い事になると思うので、
みんなやったらいいじゃんと思います。
アイドルとかのファンクラブとかこれと似たようなもんですよね。

で、実際にバンドマンがやってこれが成り立つのかどうか、余計なお世話ですが、
おもしろそうなので、もうちょっと具体的に検証してみようかと思います。
自分でも似たような事できると思いますので、その方法も含めて考えてみます。

その前にちょっと余談ですが、実はabcdefg*recordも2006年にこれと同じ事を考えていました。
当時、「がにまた」というSNSをやってたんですが、覚えてますか?いつの間にか死にましたが。
ファンクラブ的なソーシャルネットワークを作って、
そこでは無料でいろいろな楽しみがあるよと。
その先には無料メルマガ→有料会員メルマガという段階でやろうと計画していたのですが、
いまいち盛り上がらないというか、先までのビジョンをバンドの人に上手く説明しきれなかったというか、
そもそも複数人でやろうとしたのがやっぱり無理だったとか、
なんやかんや模索してるうちに失速してしまって、結果的には失敗でした。

で、実はこれの進化版が今やってるP+M magazineに繋がってるので、
なんだかんだ言って、やっぱり失敗はドンドコしてみるもんだなと、あらためて思います。

さてさて、本題に戻ります。

■予想収益

まずは、お金の話。いったいいくらくらい収入になるんだろう?と。
無料メルマガ会員が2000人集まったとします。
この2000人というのも現実的にはなかなかハードル高いと思いますが、
いろんな方法を使えばまあ達成できる数だと思います。
その中から有料会員になってくれるのが、どうでしょう?5%くらいですかね?
2009年、2010年あたりはフリーミアム戦略って言うのがよく言われてましたけど、
だいたい無料会員のうち有料になるのは5%くらいって聞いた気がするので、まあそんな感じで。

無料会員2000人の5%なので、有料会員は100人です。
月額500円だとすると、月の売り上げ合計は50,000円。
年間売り上げ予想は600,000円です。

でも、今回の場合はCDとかDVDとかライブ無料招待とか特典がすごくて、
ファンクラブ的要素がかなり強いので5%以上になるかもしれません。
驚きの50%だとしたら、年間売り上げは6,000,000円です。
1人か2人のバンドだったら全然これだけでも生活できそうです。
夢がありますね!

もう少し細かく見ていきます。

OASがどういう仕組みで課金したりメルマガ配信したりするのかが分からないので、
手数料的な部分が不明ですけど、
まあできるだけローコストでやるとどうだろうという事で以下勝手に考えます。


■課金、メルマガ配信の手数料

一番のネックは少額課金です。
毎月その都度課金だとすると、解約率がグンと上がると思うので、当然毎月自動課金です。

有料メルマガをやるには2パターン考えられます。
自力で配信する方法と有料配信システムを使う方法。

◎自力でやるなら
メルマガはとりあえず無料のシステム使うとして0円。
毎月自動課金だとすると、おそらくクレジットカードの課金になると思うので、
手数料がざっくりどうでしょう、7%+1件30円位だと思うので、
500円-65円=435円
銀行引き落としという手もありますけど、手数料がもっとかかります。
(ここにも実はもっと複雑で面白い話があるんですが、それはまたの機会に)

◎有料システムでやるなら
有料のメルマガ配信スタンドを使います。
この辺はちょっと月額とか初期費用とか配信数に応じてピンキリなので難しいんですが、
まあ手数料的には上と同じくらいか、高くて40%くらいって感じでしょうか。

あんまり細かく考えても先に進めないので、
435円が実際の入金額ということに無理矢理してみます。

厳し目の試算で有料会員5%で100人の場合なら、月額43,500円。年額522,000円。
夢の試算で有料会員50%で1000人の場合なら、月額435,000円。年額5,220,000円。


となります。


■無料配信音源の制作費

次に1〜3ヶ月毎にちゃんとミックス・マスタリングされた新曲を無料配信するとすると、
それの制作費が必要になります。
毎月というのはハードルが高いし、3ヶ月に1回だとちょいと定額制としては魅力が弱いので、
間とって2ヶ月に1曲。年間6曲だとします。
機材持っててぜーんぶバンド内で制作出来る場合なら、制作費は0円
スタジオ借りたり、エンジニア入れたりするなら、
どうでしょう?全部友達にお願いするとかしてちゃちゃーとやって友達価格で1回10,000円。
年間60,000円。


■無料CD制作費

年に1枚CDを作ります。
ここで会員が何人いるかによって制作方法が変わります。
100人くらいならCD-Rでいいかなーとか、1000人ならプレスだわな、とか。
両方の場合で試算してみます。

◎有料会員100人の場合
100枚なんでCD-Rで作ります。家でやる方法と業者に頼む方法があります。
普通のよくあるジャケ4P、帯、バックインレイ付きプラケースOPP封入だとします。
行程としては、ジャケットデザイン&印刷、盤面印刷、CD-R焼き、ケース詰め、OPP封入などです。
マスタリングとデザインは自分でやるとします。

家庭用プリンターとかで全部自分でやるなら、トータル約10,000円(@100円)。
業者に発注してちゃんと作るなら、トータル約30,000円(@300円)。
これプラス梱包代+送料が一通あたり200円で、100人分で20,000円。

合計30,000円または45,000円です。

◎有料会員1000人の場合
1000枚だと工場プレスのが安いのでCDプレス盤になります。
作るものは上記と同じで、工場で一般的な製品CDと同じものを作ります。
マスタリングとデザインは自分でやるとします。
1000枚完パケ格安プランで、約100,000円。
1000人に配送する場合、梱包送料一通あたり200円なら、200,000円

合計300,000円です。


■無料ライブDVD制作費

ライブDVDはいくらぐらいで作れるのでしょう?
もちろんこれも機材全部持ってて、友達に撮影頼んで、自分かその友達が編集する場合は0円。
業者に頼むと、安いところでも撮影と編集と出張料で30,000円。
これプラスDVD盤代とジャケット印刷代などが必要です。

◎有料会員100人の場合
100枚なら自分で編集&焼くとして10,000円(@100円)、
撮影&編集を業者に任せて、焼くだけ自分でやるなら40,000円(@400円)。
100人分の配送費用が20,000円。

合計30,000円〜60,000円です。

◎有料会員1000人の場合
1000枚ならプレスになるので、約100,000円。
1000人に配送する場合、梱包送料は200,000円。

合計300,000円です。


■会員証制作費

基本的にデザインは自分でやるか友達にただでやってもらうとします。

◎有料会員100人の場合
数が少ないので家庭用インクジェットで作ります。100枚で1000円。
配送費用が一通80円×100人分で、8,000円。

合計9,000円です。

◎有料会員1000人の場合
数が多いので印刷屋さんに頼みます。
1000枚で6000円くらい。
配送費用が一通80円×1000人分で、80,000円。

合計86,000円です。


■ワンマンライブご招待

そして問題のワンマンライブにご招待。
これが一番試算が難しいところです。

◎有料会員100人の場合
会員は全国にばらけると思うので、100人の会員向けだけにやるのはちょっと難しい気がします。
なので、普通にバンドの地元でワンマンやって、会員は無料招待で50人くらい来たとします。
100人規模のライブハウス貸し切りで平日機材費オペレーター込みで安くて50,000円。
プラス、ドリンク代負担500円×50人で25,000円。
まあフライヤー代も10,000円足しておいて、合計コスト85,000円
ただ満員にできれば残りの50人分は純売上なので、
チケット2000円(ドリンク別)として、プラス100,000円。
差し引き15,000円の利益。

◎有料会員1000人の場合
有料会員1000人いる場合だと、さらにファンが全国に散らばりそうな気もするので、
そのうち300人が無料招待で来るとします。
とすると、1000人規模の会場で一般+無料招待でやるか、300人全員無料でやるかですが、
たぶん300人規模の会場を全部無料でやるのが現実的だと思うので、その方向で計算します。
平日格安で300人規模の会場が150,000円。ドリンク代負担500円×300人分で150,000円。
通常チケットは出ないので、合計コストが300,000円

さらに、、、

無料招待のイベントを開催すると、物販が売れるような気がします。
チケット買ってないからその分のお金でグッズが買えるからです。
ただ、CDもライブDVDも無料プレゼントですでに持ってるとすると、
物販できるものがTシャツとかになると思います。
またまたここも試算が難しいですが、
デザインは自分でやってシルクスクリーン印刷で工場でTシャツを作るとします。

◎有料会員100人の場合
チケット無料のお客さん50人の半分25人が、1枚2,000円のTシャツを買うとします。
Tシャツ25枚の制作費用がまあ安く作って約20,000円。
売り上げ50,000円。純利益30,000円

さっきのライブの利益15,000円と合わせると、
合計45,000円の利益になります。

◎有料会員1000人の場合
チケット無料のお客さん300人の半分150人が、1枚2,000円のTシャツを買うとします。
150枚制作して費用が約70,000円。
一枚2,000円で150人が買うと、売り上げ300,000円。純利益230,000円

さっきのライブのコスト300,000円と合わせると、
最終合計コストは70,000円になります。



いろいろややこしくなってきたので、ここで一旦まとめます。

【年間収入】

◎有料会員100人の場合(厳し目5%試算)
・メルマガ収入 月額43,500円/年額522,000円
・ワンマンライブ収入 45,000円
=合計(年間) 567,000円

◎有料会員1000人の場合(夢の50%試算)

・メルマガ収入 月額435,000円/年額5,220,000円
=合計(年間) 5,220,000円


【年間支出】

◎有料会員100人の場合(厳し目5%試算)
・無料配信音源制作費 0円(自分で出来る場合)/年額40,000円〜120,000円(業者を使う場合)
・CD制作費 30,000円〜45,000円
・ライブDVD制作費 30,000円〜60,000円
・会員証制作費 9,000円(初年度のみ)
=合計(年間) 63,000円(自分で出来る場合)/109,000円〜234,000円(業者を使う場合)

◎有料会員1000人の場合(夢の50%試算)
・無料配信音源制作費 0円(自分で出来る場合)/年額40,000円〜120,000円(業者を使う場合)
・CD制作費 300,000円
・ライブDVD制作費 300,000円
・会員証制作費 86,000円(初年度のみ)
=合計(年間) 683,000円(自分で出来る場合)/726,000円〜806,000円(業者を使う場合)


【差し引き】

◎有料会員100人の場合(厳し目5%試算)
年間純利益=504,000円(自分で出来る場合)
年間純利益=333,000円〜458,000円(業者を使う場合)

◎有料会員1000人の場合(夢の5%試算)
年間純利益=4,537,000円(自分で出来る場合)
年間純利益=4,414,000円〜4,494,000円(業者を使う場合)


というような感じでしょうか。
(税金を考慮してないので、実際にはここからざっくり10%〜20%くらい少なく考えたらいいかと。)


で、これは単純にプロモーションにかかるコストは入ってません。
そして今の時代、一番重要で難しいところがプロモーションの部分だと思うので、
ここまで単純な話ではないと思いますけど、そこのコストはピンキリなので一旦無視で。
なんやかんや知らん間に2000人メルマガ会員が増えたらっていう話にしてます。
ちなみにコストというのは金銭的な費用という意味だけじゃないです。
あとは解約に関する試算も入れてません。

デザインとか、音楽以外の作る部分の大部分も全部自分でできるならっていうのが前提になってますけど、
このメルマガを使ったなんやかんやはプロモーションとしても、
販売の仕組みとしてもいい仕組みだと思います。
これだけ単発で考えてもアレなんだけど、組み合わせ次第でめちゃんこいい感じになる方法とか、
ちょっと考えただけでも色々アイデアは広がります。
いいものが提供され続けるならファンにとっても嬉しい仕組みだし、応援したくなる。

なんだかんだで普通にCDリリースするよりかは全然利益は大きくなりそうです。
問題は、これらすべてをバンドメンバーだけでプランニングして実行し続けることができるかどうか
とくに考えなくてはいけないのが、年額で収入を計算すると大きな金額があるように見えますが、
実際には年間通して徐々にたまっていくお金です。会員数も徐々にしかも一定ではなく増えてきます。
ところがCDプレスやライブの会場代などの費用は一括支払いです。
何枚作るか、何人の会場でやるか、今後何ヶ月で何人会員が増えるか、何人解約するか、
その辺の金銭感覚と全体の収支予想、スケジュール管理、会員管理なんかが結構大変かもしれません。

なかなか音楽でご飯食べていくのはハードルが高いような気がしますが、
やれることは色々あるなぁという気はします。まだまだ夢はあるね。

もちろんこれだけが音楽の収入のすべてじゃないし。
通常のライブもお客さん増えるだろうし、CD流通させてもいいし、ダウンロード販売してもいいし。
こんなものやりつつ、週3はギター教室の先生やってもいいし、レコ屋でバイトしてもいいし。
でも平日はサラリーマンやって、週末はこの仕組みを使う、のはちょっと無理かもなー。
もうちょっと簡略バージョンとか考えれば全然できると思うけど。

という感じで、ざっくり考えてみましたが、どうでしょうか?
ホントはもっと分かりやすく表でも作ってまとめようかと思ったんですけど、
もう力尽きました。

で、実はこの仕組みから得られる一番重要なポイントというのは、金銭ではないんです。
これだけの利益が出したいからこの仕組みを使ってアレをこうして、みたいな考え方だと、
たぶんいい感じにはならないと思います。
金銭的な利益はあくまでもおまけです。
こんだけお金の話をしておいてなんじゃそりゃって話なんですけど。
じゃあ利益以上にもっと重要なポイントって何なの?って言うことになるんですけど、
そろそろ任侠ヘルパーSPが始まっちゃうので、それはまた今度にします。

さよならさよなら。
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コメント
なる | 2011/01/13 07:42
有料会員5%での試算を厳し目としれますが、それ楽観的な数字ですよ。
一大ムーブメントにまで成長できたニコニコ動画が去年やっとその数字になりましたから。
2008年のニコ動とmixiの有料会員率が載ってるブログが下記にありますが、その当時で共に3%台です。
http://d.hatena.ne.jp/kawasaki/20080219/1203418451
なる | 2011/01/13 08:27
加入率でもうひとつ気になること、それは複数アーティストのこと。
無料メルマガにはいろんなアーティストのファンが参加するけど、有料会員はアーティスト毎。
たとえばA・B・C・Dと4組のアーティストのファンがライト層も含めそれぞれ1000人いて無料メルマガに加入する。
それぞれから10%ずつが有料会員になったとして、それぞれの会員数は100人。
もしファン層が被らなければ、無料メルマガ全体の会員数から見た加入率は100/4000で2.5%に。
ファン層が被れば分母は小さくなるから、分子のほうがそのままなら見た目の加入率は上がるけど…でもそうすると会員ひとりあたりの負担が増える。各500円として4組全部なら2000円。個人が負担する額としては大きくなってくるから、全部には加入しないという選択が現れだす。よって分子も減るので見た目の加入率は上がらないだろう。

そして…OAS参加アーティストが100組とかになったとき、メルマガ全体で10万人とか集まるかな。1000組なら100万人…はあり得ないですね。
「OASの会員数は10万人います。有料会員は全体で10%です」という言葉に誘われて参加してみたら、アーティスト毎の加入率はもっと低くて期待外れ、なんてことになりそうですよ。
オニマガ | 2011/01/13 17:17
あー、今思い出しましたが、昔これの有料会員携帯サイト版がありました。
いろんなアーティストが参加してて、ファン数に応じて配分されます的な。
散々でしたけど。
結局でっかく集まると人気あるバンドが有利なのはどんな仕組みでも同じなんで、
人気がそれほどなくても少数の固定ファンと一緒に楽しく続けていける仕組みを考えたら面白くなりそうだなー、
とかなんとか思ったりします。






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